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レモンユーカリの学名が2つある理由。Eucalyptus ? Corymbia?

チャキン
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レモンユーカリには、
文献や場面によって使われる
学名が2つあります。

Eucalyptus citriodora
Corymbia citriodora

園芸や流通の世界では、
今も Eucalyptus の名前をよく見かけます。

一方、現在の植物分類では、
レモンユーカリは Corymbia に分類されています。

「え? じゃあ、どっちが本当なの?」

その疑問に答えるために、
名前が分かれた理由を、
できるだけやさしく説明します。

レモンユーカリの名前はどうして2つあるの?

〜1995年、ユーカリの仲間分けが変わった話〜

むかしは、みんなまとめて「ユーカリ」だった

少し前まで、レモンユーカリは
たくさんの木と一緒に ユーカリ属(Eucalyptus) に入っていました。

見た目も似ているし、
「まあ、同じ仲間でいいよね」
という感じです。

でも――
研究者たちが、じっくりくらべてみると、
気になることが出てきました。


「この子たち、そっくりじゃない?」と気づいた

1990年代、植物の研究者たちは
ユーカリのなかまを 一つ一つ、細かく観察しました。

見るポイントは、こんなところです。

  • つぼみは、どうやって開く?
  • 花は、どうやって集まって咲く?
  • 木の皮は、ツルツル? ゴツゴツ?
  • 実(かたい部分)は、どんな形?

すると――

レモンユーカリをふくむグループは、
いくつもの特徴が、同じ形でそろっていることが分かりました。


いちばん大事だったのは「つぼみの開き方」

特に大きなヒントになったのが、つぼみです。

ユーカリ属(Eucalyptus)

  • つぼみに フタ がついている
  • 花が咲くとき、フタが ポロッと外れる

コリンビア属(Corymbia)

  • つぼみは 割れるように開く
  • フタは 完全には外れない

「つぼみの開き方が、ぜんぜん違うね」

しかも、この違いは
レモンユーカリのグループで いつも同じ でした。


木の皮も、同じ仲間どうしで似ていた

さらに、木の皮(樹皮)にも共通点がありました。

ユーカリ属

  • ゴツゴツしている
  • あまりはがれない

コリンビア属

  • つるっとしている
  • うすくペリッとはがれやすい

つぼみも、木の皮も、花のつき方も――
ぜんぶ同じグループどうしでそろっていたのです。


「じゃあ、仲間分けを分けよう」

1995年、
オーストラリアの研究者
ヒル(Hill)とジョンソン(Johnson) は考えました。

「これだけ同じ特徴がそろっているなら、
ユーカリ属の中に入れておくより、
新しい仲間として分けた方がわかりやすい

こうして生まれたのが、
コリンビア属(Corymbia) です。

この考え方は、
1995年の論文で、くわしくまとめられました。


ユーカリじゃなくなったの?

ここは、よくまちがえられるところです。

レモンユーカリは、

  • ユーカリのなかま ではある
  • でも、もっと細かく分けると Corymbia

という位置になります。

たとえるなら、

  • 「どうぶつ」→「いぬ」→「柴犬」
  • 「ユーカリのなかま」→「Corymbia」

こんな感じです。


名前が変わっても、レモンユーカリはそのまま

学名は変わりましたが、

  • レモンのいい香り
  • 見た目のかわいさ
  • 私たちが知っているレモンユーカリ

これらは、何も変わっていません。

ただ、
もっと正しく仲間分けされた
それだけのことです。


この話のもとになった研究

この記事の考え方は、
次の論文をもとにしています。

Hill, K.D. & Johnson, L.A.S. (1995)
A revision of the bloodwoods, genus Corymbia

図解で見る|Corymbia と Eucalyptus の形の違い(蕾・花・樹皮)

なぜ Corymbia と Eucalyptus が混在しているのか

✔ 研究者・国際的な分類データベースほど Corymbia を使っている

Plants of the World Online (POWO)キュー王立植物園

https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:986336-1

✔ 園芸・植物園・一般向け資料は Eucalyptus がまだ根強い

園芸や一般向けの情報を見ていると、
レモンユーカリの学名として Eucalyptus citriodora が使われている例は今も多く見られます。

たとえば、園芸情報サイトやホームセンターの植物紹介ページなどでは、
旧学名のまま紹介されているケースもあります。

これは誤りというわけではなく、
園芸や流通の現場では、長年親しまれてきた名称がそのまま使われ続けることが多いためのようです。

学術的には Corymbia citriodora が正式名とされていますが、
一般向けの資料では、まだ移行途中なのが現状なのだと感じました。

筑波実験植物園

https://tbg.kahaku.go.jp/recommend/illustrated/result.php?p=1&mode=easy&list=jname&ruby=ra&name=%E3%83%AC%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AA

🌿 先住民の利用と「citriodora」という名前

レモンユーカリの学名
Corymbia citriodoracitriodora は、
ラテン語で 「レモンの香りをもつ」 という意味です。

この名前は、研究室の中だけで決められたものではなく、
人が実際に感じてきた香りの特徴 を、そのまま学名に落とし込んだものです。

🌿 香りは、先に“暮らしの中で”知られていた

オーストラリア先住民は、
レモンユーカリの葉が放つ強い香りを、

  • 虫を遠ざける
  • 煙にして空間を整える
  • 身の回りを快適に保つ

といった形で、日常的に利用してきました。

ここで重要なのは、
「この木はレモンのような香りがする」
という感覚が、学名が付けられるずっと前から共有されていたことです。

🌿 学名は「人の感覚」を記録したもの

citriodora という種小名は、
化学成分の分析結果よりも先に、
香りという感覚的な特徴 をそのまま言葉にしています。

これは、植物の学名が単なる記号ではなく、

  • 人がどう感じ
  • どう呼び
  • どう区別してきたか

を記録する役割も持っていることを示しています。

🌿 分類が変わっても、名前に残った本質

1995年に分類が見直され、
レモンユーカリは Eucalyptus から Corymbia に移りました。

それでも citriodora という名前は変わりませんでした。

属が変わっても、
「レモンの香りをもつ木」 という本質は、
人の暮らしの中で一貫して認識されてきたからです。

citriodora という名前は、
レモンユーカリが人の暮らしの中で
「香りの木」として知られてきた歴史そのものなのかもしれません。

まとめ

レモンユーカリに学名が2つあるのは、植物の研究が進み、「より正確に理解しよう」とした結果です。

名前は変わっても、レモンのような香り、人の暮らしを助けてきた歴史、そして魅力そのものは変わりません。

学名の違いを知ることは、レモンユーカリをほんの少し深く知るための入口なのかもしれません。

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レモンユーカリの育て方や香りの楽しみ方を発信中。 元庭師の主婦が、植物博士(?)バオバブくんと一緒に、ゆるやかな暮らしをお届けします🌿
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